九州旅客鉄道(JR九州)は4月までに、観光列車「指宿のたまて箱(通称いぶたま)」(鹿児島中央―指宿)を増強する。一部の車両編成を現在の2両から3両に増やす。いぶたまは同社の観光列車で最も人気が高く予約を取りにくいため、地元から増強を要望する声が出ていた。3月に全線開業2年目となる九州新幹線鹿児島ルートの利用者減少を防ぐためにも乗り継ぎ客の多い特急の増強が不可欠と判断した。
3両編成にすれば1列車当たりの輸送力は現在の1.5倍の90人に増える。特急「はやとの風」(吉松―鹿児島中央)の予備車両を転用する。同車両は車体が黒だが、半分を白く塗れば白と黒のツートンカラーである、いぶたまのデザインに変えられる。車両内部の構造も似ており大幅な改装は不要という。浦島太郎伝説にちなんだ乗降ドア上部の霧発生装置も付ける。改装費は数千万円。
いぶたまは1編成しかない。週末、連休など繁忙期に、3両編成に増やす。四半期ごとに需要動向を見直し、2両編成と3両編成を使い分けて乗車率(総座席数に占める利用席数)を高める。
新幹線の全線開業で、砂蒸し温泉で有名な指宿温泉の人気が高まった。いぶたまは週末を中心に乗車希望者が殺到、全体の2割しか購入できない状況が続く。いぶたまが運行を始めた昨年3月13日から今年1月7日までの乗車率は86%と、「SL人吉」(熊本―人吉)と並んでJR九州の8つの観光列車でトップ。週末を中心に運行するSL人吉と違い、いぶたまは毎日3往復運行しており、「本数の多さを考えれば乗車率の高さは断トツ」(同社)と言える。
指宿の旅館や鹿児島市の官民などはかねてJR九州に、いぶたまの3両編成化を要望していた。同社は「希少価値を保つことでリピーターが増える面もある」などとして、あえて2両編成を維持してきた。ただ運行開始から1年近くたっても、いぶたま人気が衰えないことから3両編成にしても問題ないと判断した。